小脳歩行論文

市村さん (D1)の卒研(!)だった、下肢筋骨格系モデルと小脳モデルを組み合わせた2足歩行モデルの論文が出版されました。

市村大輔, 矢野諭, 山﨑匡. 小脳による足底接地情報の遅れ補償を組み込んだ下肢筋骨格系モデルの歩行シミュレーション. 電子情報通信学会論文誌D Vol.J100-D No.8 pp.808-816, 2017.

片倉さん壮行会

片倉さんの何か(詳細は後日)の壮行会で、六本木のウルフギャングステーキハウスに行きました。

これから電通大の情報・ネットワーク工学専攻を受験する人へ

大学院というのは「この先生のところで研究したい」という明確な目的に従って入学してくるものであって、「どこでもいいから入学できればいいや」というものではありません。大学院に入りたいなら、事前に自分が学びたいと考えている教員と面談し、入学後の研究室配属について合意しておくのが普通です。

山﨑研は特に厳しくしています。卒研配属ですら面談を必須としています。学外の、これまで見たことも聞いたことも無い学生が突然やってきて、今日から研究室に入れろと言われても、はいそうですかと簡単に受け入れるわけには行きません。

しかしながら、本学の大学院入試の規定では、制度上一度も面談しなくても配属されてしまう可能性があります。規定は変更できないので、山﨑研では以下のようなローカルルールを定義します。

  1. 配属学生を1群と2群に分けます。
  2. 1群は、従来通り面談を行い配属に関して双方が合意した学生の集合です。
  3. 2群は、面談もせず私の合意もないまま配属されてしまった学生の集合です。

1群の学生には、従来通りうちでできる最高レベルの教育研究を行います。年1回の国際会議発表が義務で、目標は英語論文執筆です。それができるような指導をします。費用は全て研究室で出しますし、給料を支払うことも可能です。

一方、2群の学生にはもっとマイルドな指導をします。現時点で2群の学生は0人なので、もし本当に学生が来たときに実際にどうするかは来てから考えますが、本物の研究というよりは教育を目的とした調査研究を主体とし、学会発表には届かないレベルにするつもりです。本学ではこういう教育をしている研究室の方が多いと思います。

簡単に言うと、うちでやりたいという学生と、うちでなくてもいいという学生を、同列に扱うことはしない、ということです。同列に扱ったら、前者に対する造反行為ですから。

2群の学生は未来永劫0人であり続けたいと思います。ちょっとでもうちに来る可能性があるなら、あらかじめ面談しておいてください。

以上です。

山﨑 匡
2017年7月26日

ネコ小脳論文に関するコメント

本日付で、オンライン版に掲載されました。関係者の皆様、ありがとうございました。

雑誌のImpact Factorは1.081と、いわゆる医学系の雑誌と比較して低く、論文の内容そのものも神経科学的に新しい知見を加えるわけではないですが、私としてはこの論文はとても大切です。なぜなら、

  1. おそらく神経科学の研究論文としては初めて、本物のHPCの専門誌に掲載されたから
  2. 本物のHPCの専門家とのコラボレーションにより初めて可能になった研究論文だから

です。

1. については、これまでも「京」全ノードを使ったシミュレーションの論文(Kunkel et al. 2014)や、我々のリアルタイム小脳モデルの論文(Yamazaki, Igarashi 2013)等ありましたが、掲載誌はFrontiers in NeuroinformaticsやNeural Networks等の、いわゆる神経科学の専門誌でした。もちろん神経科学としてのインパクトの方を重視したのだと思いますが、一方で、ではいわゆるHPCの専門誌に掲載可能な専門性と強度を持っていたかというと、必ずしもそうではないように思います。我々の今回の論文は、神経科学の多くの人達が聞いたこともないような、スケーリング、キャッシュ階層、通信の隠蔽、並列リダクション、とHPCの言葉を使って書かれたものであり、専門誌に掲載される程度の強度を有しています。分野を超えた論文を書けたことは、私にとって大きな意味があります。

2. については、戎崎先生、牧野先生というGRAPE Projectの2大巨頭と一緒に論文を書く、という栄誉に恵まれました。「異分野融合は大切です」とお題目のように唱える研究者は大勢いますが、実際にそれを実現するのは非常に非常に困難です。まずお互いが同じ言葉を話せるようになるまでにとてつもない時間と労力が必要だからです。大変ありがたいことに、2大巨頭の先生は我々の分野に歩み寄って下さり、共著者の五十嵐さんと私はより一層HPCの研鑽を深めた結果、少しは同じ言葉で話ができるようになりました。そもそも私が菖蒲を使えるようになったのは、戎崎先生が主催するアクセラレータ研究会がきっかけですので、この研究会が存在しなければ、そしてこの研究会に五十嵐さんが私を紹介してくれなければ、今回の論文はありませんでした。チームの勝利です。

これまでの私のキャリアにおけるマイルストーンはYamazaki et al. (2015)で、これを越えるのは当分ないだろうと思っていましたが、今回の論文は新たなマイルストーンです。2015年の初夏に初めて睡蓮を使い始めたときに、こんなに早くこの特別なスパコンの論文を発表する日が来るとは思いませんでした。

次のマイルストーンは、2018年春、1,000億ニューロンからなる世界で初めてのヒトスケール小脳モデルのリアルタイムシミュレーションを実現することです。どうぞお楽しみに。

山﨑 匡

新メンバー

4月から、特任研究員の山浦洋さん、B4の吉村英幸さんがjoinしました。よろしくお願いします!

受賞報告

片倉さんが学生表彰、市村さんが目黒会賞をそれぞれ受賞しました!

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