ゆく年度くる年度2021

結局今年度も世界の情勢は変わりませんでしたが、我々自身は適応していると思います。

今年度の最大の成果は、小林さん (D3) が博士号を取得したことです。おめでとうございます!4月からはとある国立大に助教として着任します。今はアカデミックのポジションが激減しているので、実力もさることながら運も良かったなと思います。新天地での活躍を楽しみにしています。

学生の評価は総じて高く、長谷川さん (M2) と山田さん (B4) は目黒会賞を受賞し、それぞれI専攻とI類の総代に選ばれました。小林さん (D3) と栗山さん (M2) は学生表彰を受賞しました。おめでとうございます!なお、私も優秀教員賞 (個人部門) をいただきました。ありがとうございます。

また、今年度はついに教科書の出版にこぎ着けました。おかげさまで好評です。「富岳」成果創出加速プログラムの広報活動の一環でもあり、お役に立てているかなと思います。来年度はNEURO2022での教育講演などもあり、シミュレーション神経科学の普及活動に力を入れていきます。

研究方面では、階層型強化学習による脳身体シミュレーションと、マルチコンパートメントモデルのシミュレーションの2つに大体収斂してきました。前者は「富岳」で脳モデルを走らせて研究室のロボットを制御できるようになりましたし、後者は論文 (Kobayashi, Kuriyama, Yamazaki 2021) が出版されて、マルチコンパートメントモデルのシミュレーションを陽解法で非常に高速・高効率に実行できるようになりました。「富岳」成果創出加速プログラムでは、R-CCSの五十嵐さんを中心としてついに前人未踏のヒト規模神経回路シミュレーションが達成されました。今年度1年かけて、うまく次の数年間のための仕込みができたと思います。

来年度からは博士課程の学生が2人になります。博士課程に進学してもらえるのは大変ありがたく、研究室の勢いがますます加速するのを楽しみにしています。来年度も学外から大学院生が来ます。シミュレーション神経科学という分野の確立を目指します。

来年度は「富岳」成果創出加速プログラムの最終年度です。「富岳」を使った成果は着実にあがってきているので、うまく次に繋げられるといいと思います。今世界で一番うまく「富岳」を使って神経回路シミュレーションができるのは、我々のグループですからね。

来年度こそは世界が元通りになることを期待しています。また海外出張に行きたいし、延期した10周年記念イベントも今度こそ開催したいですしね。