小脳歩行論文

市村さん (D1)の卒研(!)だった、下肢筋骨格系モデルと小脳モデルを組み合わせた2足歩行モデルの論文が出版されました。

市村大輔, 矢野諭, 山﨑匡. 小脳による足底接地情報の遅れ補償を組み込んだ下肢筋骨格系モデルの歩行シミュレーション. 電子情報通信学会論文誌D Vol.J100-D No.8 pp.808-816, 2017.

ネコ小脳論文に関するコメント

本日付で、オンライン版に掲載されました。関係者の皆様、ありがとうございました。

雑誌のImpact Factorは1.081と、いわゆる医学系の雑誌と比較して低く、論文の内容そのものも神経科学的に新しい知見を加えるわけではないですが、私としてはこの論文はとても大切です。なぜなら、

  1. おそらく神経科学の研究論文としては初めて、本物のHPCの専門誌に掲載されたから
  2. 本物のHPCの専門家とのコラボレーションにより初めて可能になった研究論文だから

です。

1. については、これまでも「京」全ノードを使ったシミュレーションの論文(Kunkel et al. 2014)や、我々のリアルタイム小脳モデルの論文(Yamazaki, Igarashi 2013)等ありましたが、掲載誌はFrontiers in NeuroinformaticsやNeural Networks等の、いわゆる神経科学の専門誌でした。もちろん神経科学としてのインパクトの方を重視したのだと思いますが、一方で、ではいわゆるHPCの専門誌に掲載可能な専門性と強度を持っていたかというと、必ずしもそうではないように思います。我々の今回の論文は、神経科学の多くの人達が聞いたこともないような、スケーリング、キャッシュ階層、通信の隠蔽、並列リダクション、とHPCの言葉を使って書かれたものであり、専門誌に掲載される程度の強度を有しています。分野を超えた論文を書けたことは、私にとって大きな意味があります。

2. については、戎崎先生、牧野先生というGRAPE Projectの2大巨頭と一緒に論文を書く、という栄誉に恵まれました。「異分野融合は大切です」とお題目のように唱える研究者は大勢いますが、実際にそれを実現するのは非常に非常に困難です。まずお互いが同じ言葉を話せるようになるまでにとてつもない時間と労力が必要だからです。大変ありがたいことに、2大巨頭の先生は我々の分野に歩み寄って下さり、共著者の五十嵐さんと私はより一層HPCの研鑽を深めた結果、少しは同じ言葉で話ができるようになりました。そもそも私が菖蒲を使えるようになったのは、戎崎先生が主催するアクセラレータ研究会がきっかけですので、この研究会が存在しなければ、そしてこの研究会に五十嵐さんが私を紹介してくれなければ、今回の論文はありませんでした。チームの勝利です。

これまでの私のキャリアにおけるマイルストーンはYamazaki et al. (2015)で、これを越えるのは当分ないだろうと思っていましたが、今回の論文は新たなマイルストーンです。2015年の初夏に初めて睡蓮を使い始めたときに、こんなに早くこの特別なスパコンの論文を発表する日が来るとは思いませんでした。

次のマイルストーンは、2018年春、1,000億ニューロンからなる世界で初めてのヒトスケール小脳モデルのリアルタイムシミュレーションを実現することです。どうぞお楽しみに。

山﨑 匡

Society for cerebellar research and ataxia

5月24-26日にカナダのウィニペグで開催された表題の国際会議で、山﨑がポスター発表を行いました。

ポスト「京」ポスドク募集のお知らせ

[2017年3月1日] 募集は終了しました。

これまで水面下で個人的に連絡を取ったり知り合いのつてを辿ったりしていましたが、公募することにしました。このページを見に来ていただいてありがとうございます。

ポスト「京」萌芽的課題4「思考を実現する神経回路機構の解明と人工知能への応用」の「脳のビッグデータ解析、全脳シミュレーションと脳型人工知能アーキテクチャ」 (研究代表: 銅谷賢治先生)

というプロジェクトに参加しています。私の担当は言うまでもなく小脳ですが、特にこのプロジェクトでは、別のグループが構築している大脳モデルと我々の小脳モデルを繋ぐ大脳小脳連関を、「京」ならびにポスト「京」で実現することを目標としています。

プロジェクトは2020年3月まで3年間です。職場は電通大 (東京都調布市)で、電通大の特任研究員になります。給与は大学の規定に従いますが、計画書の書類上は700万円計上してあります。エフォートは要相談。こういうことを書いていいのかどうか非常に不明ですが、博士号を取ったけど職が見つからなかったので当座のつなぎ、でもまあいいんじゃないかと思います。

仕事の内容は大脳小脳連関なので、ざっくり

  1. 大脳と小脳がどのようにして結合しているのか、大量の論文をサーベイして実装可能な青写真を作る。
  2. その青写真にもとづいて、実際に実装する。

に分けられるかなと思います。両方できれば最高ですが、サーベイができるならその青写真に従って私が実装しますし、実装ができるならサーベイは私が。役割分担しましょう。

そんなにピュアな神経科学は狙っていません。プロジェクトの半分は神経科学ですが、もう半分はAIの人達で構成されていますし、新学術の「脳科学とAI」と一緒にやっていますので、まあ、本物の神経科学をベースにした全脳アーキテクチャ研究、くらいに捉えていただいてもいいかと。

興味がありましたら、とりあえずご連絡下さい。連絡先は、

search17@numericalbrain.org

です。現時点では履歴書や推薦書は不要です(もちろん送って下さってもかまいません。確認後こちらで責任を持って破棄しますし、目的外の利用はしないことをお約束します)。あなたのウェブサイトのURL、ResearchGate, Google Scholar, Twitter, GitHubのアカウントなど、あなたのことがわかるものなら何でも教えて下さい。拝見します。

よろしくお願い致します。

山﨑 匡

Neuroscience 2016 @ San Diego

片倉さんと市村さんがポスター発表をしました。

片倉さんのは想定外に大盛況で、コアタイムどころかずっとポスターに張り付かざるをえない感じでした。

市村さんのはほどほどのお客さんと、各種お申し出&ご相談があり、今後の研究が大幅に進化できそうでした。

日本神経回路学会 優秀研究賞

研究員の倉重さんが著者に加わっている研究

草野利樹,倉重宏樹,南部功夫,守口善也,花川隆,和田安弘,大須理英子
一次運動野における特定の運動実行に関連した安静時脳活動中の神経表現
NC2014-101(2015年3月)

が平成28年度日本神経回路学会 優秀研究賞を受賞しました!おめでとうございます!

脳型計算雑談会

山﨑が発表しました。どうもありがとうございました。

今日の質問で、「トップダウンとボトムアップのそれぞれの中身はしらなくても、インタフェースだけ揃えておけばいいのではないか」というものがありうまく答えられませんでしたが、例えば「トップダウンとボトムアップ」を「理論と実験」で置き換えると、インタフェースを定義すること自体が不可能だということがわかります。なぜなら実験家と理論家は違う言語を話すので。ですので、インタフェースではなく通訳が必要で、その通訳になるためには両方を知っている必要がある、と考えます。

ICONIP 2016

京都で開催された国際会議ICONIP 2016にて、片倉と露木がポスター発表を行いました。

  • Tsukasa Tsuyuki, Yuki Yamamoto, Tadashi Yamazaki. Efficient numerical simulation of neuron models with spatial structure on graphics processing units. A. Hirose et al. (Eds.): ICONIP 2016, Part IV, LNCS 9950, pp. 279–285, 2016. DOI: 10.1007/978-3-319-46681-1 34
  • Ohki Katakura, Tadashi Yamazaki. Computational model of the cerebellum and the basal ganglia for interval timing learning. A. Hirose et al. (Eds.): ICONIP 2016, Part IV, LNCS 9950, pp. 244–251, 2016. DOI: 10.1007/978-3-319-46681-1 30
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