JNNS2017

9月20-22日に北九州国際会議場で開催された第27回日本神経回路学会全国大会で、山﨑研から5件の発表を出しました。

  • 山﨑 匡. 強化学習機械としての小脳?. 第27回日本神経回路学会全国大会
  • 山浦 洋, 五十嵐 潤, 山﨑 匡. 大脳小脳連関ループのスパイキングネットワークモデル
  • 市村 大輔, 山﨑 匡. 小型ヒューマノイドロボットを用いた病的歩行の計算機シミュレーション
  • 露木 吏, 山本 祐輝, 山﨑 匡. 小脳顆粒層のマルチコンパートメントモデルシミュレーション
  • 古荘 航, 山﨑 匡. オンライン学習のためのネコスケール人工小脳の高速化

ICANN 2017

古荘さん (M1) が、イタリアのサルディーニャで開催された国際会議 International Conference on Artificial Neural Networks (ICANN) でポスター発表を行いました。

Wataru Furusho, Tadashi Yamazaki. Implementation of Learning Mechanisms on a Cat-scale Cerebellar Model and its Simulation. 26th International Conference on Artificial Neural Networks (ICANN) 2017. 2017年9月11-14日, Sardinia, Italy.

小脳歩行論文

市村さん (D1)の卒研(!)だった、下肢筋骨格系モデルと小脳モデルを組み合わせた2足歩行モデルの論文が出版されました。

市村大輔, 矢野諭, 山﨑匡. 小脳による足底接地情報の遅れ補償を組み込んだ下肢筋骨格系モデルの歩行シミュレーション. 電子情報通信学会論文誌D Vol.J100-D No.8 pp.808-816, 2017.

片倉さん壮行会

片倉さんの何か(詳細は後日)の壮行会で、六本木のウルフギャングステーキハウスに行きました。

ネコ小脳論文に関するコメント

本日付で、オンライン版に掲載されました。関係者の皆様、ありがとうございました。

雑誌のImpact Factorは1.081と、いわゆる医学系の雑誌と比較して低く、論文の内容そのものも神経科学的に新しい知見を加えるわけではないですが、私としてはこの論文はとても大切です。なぜなら、

  1. おそらく神経科学の研究論文としては初めて、本物のHPCの専門誌に掲載されたから
  2. 本物のHPCの専門家とのコラボレーションにより初めて可能になった研究論文だから

です。

1. については、これまでも「京」全ノードを使ったシミュレーションの論文(Kunkel et al. 2014)や、我々のリアルタイム小脳モデルの論文(Yamazaki, Igarashi 2013)等ありましたが、掲載誌はFrontiers in NeuroinformaticsやNeural Networks等の、いわゆる神経科学の専門誌でした。もちろん神経科学としてのインパクトの方を重視したのだと思いますが、一方で、ではいわゆるHPCの専門誌に掲載可能な専門性と強度を持っていたかというと、必ずしもそうではないように思います。我々の今回の論文は、神経科学の多くの人達が聞いたこともないような、スケーリング、キャッシュ階層、通信の隠蔽、並列リダクション、とHPCの言葉を使って書かれたものであり、専門誌に掲載される程度の強度を有しています。分野を超えた論文を書けたことは、私にとって大きな意味があります。

2. については、戎崎先生、牧野先生というGRAPE Projectの2大巨頭と一緒に論文を書く、という栄誉に恵まれました。「異分野融合は大切です」とお題目のように唱える研究者は大勢いますが、実際にそれを実現するのは非常に非常に困難です。まずお互いが同じ言葉を話せるようになるまでにとてつもない時間と労力が必要だからです。大変ありがたいことに、2大巨頭の先生は我々の分野に歩み寄って下さり、共著者の五十嵐さんと私はより一層HPCの研鑽を深めた結果、少しは同じ言葉で話ができるようになりました。そもそも私が菖蒲を使えるようになったのは、戎崎先生が主催するアクセラレータ研究会がきっかけですので、この研究会が存在しなければ、そしてこの研究会に五十嵐さんが私を紹介してくれなければ、今回の論文はありませんでした。チームの勝利です。

これまでの私のキャリアにおけるマイルストーンはYamazaki et al. (2015)で、これを越えるのは当分ないだろうと思っていましたが、今回の論文は新たなマイルストーンです。2015年の初夏に初めて睡蓮を使い始めたときに、こんなに早くこの特別なスパコンの論文を発表する日が来るとは思いませんでした。

次のマイルストーンは、2018年春、1,000億ニューロンからなる世界で初めてのヒトスケール小脳モデルのリアルタイムシミュレーションを実現することです。どうぞお楽しみに。

山﨑 匡

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