なぜ山﨑研は二言目には「成果を出せ」と言うのか (パート2)

(パート1があります。)

ちょうど卒論・修論シーズンですが、成果が出てると色々いいわけです。

まず学生側のメリットとして、以下が挙げられます。

  • 一から準備を始めなくて良い。学会発表をしてればそのアブストラクトや発表で使った図表があるだろうし、論文を投稿していればその原稿があるので、それに肉付けをしていくことで卒論・修論に仕立て上げることができます。0から1を作るのは大変ですが、1を10にするのは比較的容易です。
  • 学会発表や論文投稿ができているということは、かなりスムーズに研究が進んだことが想定され、つまり明確なストーリーにもとづいて研究が進められたと考えられます。ストーリーが明解なら卒論・修論もストレートに書き上げることができます。
  • 既に成果が出ていれば、あとは書くだけです。そうでないと、研究しながら原稿を書くという自転車操業をやるはめになります。これはストーリーが二転三転することが強く予想され、原稿の完成度はお粗末にならざるを得ないので、全くお勧めできません。
  • 学会等であらかじめ何回か発表して経験値を積んでいれば、発表会で過度の緊張をするのを避けられます。こういうのは場数を踏むことが重要です。
  • パワポやLaTeXの操作にあらかじめ慣れておくことができます。使いこなせるようになるまで意外と大変です。

一方、教員側にもメリットがあります。

  • 評価が容易。具体的に成果があれば、その研究は少なくとも、その分野での新規性・有用性が多少なりとも認められることが担保されます。査読付論文として出ていれば完璧。安心して学位を授与できます。
  • 具体的に学生がやった研究内容を評価できる。もし明確な成果が無い場合、研究のプロセスを評価するしかありません。どれくらい真面目に取り組んだかとか、どれくらいちゃんと研究室に来たかとか。そういう本質的とは言いがたいところで評価されるのは学生にとっても不本意でしょう。
  • 研究指導を分散できる。学会発表のタイミングで図表を修正し、論文を投稿のタイミングで原稿を修正し、とやっていれば、少しずつ修論・卒論を構築することになります。そうでないと修論・卒論の提出直前にまとめて全てを行うことになり、負荷が尋常でなくなります。

ということで、山﨑研では頑なに「成果を出せ」と言い続けます。

[2017年2月5日 初出]